新生Teenage Fanclubを見た

先日、Teenage Fanclubの結成30周年ツアー大阪公演に行ってきました。

 開演後、最初にステージに出てきたのは、サポートアクトのTENDOUJI。恥ずかしながら、TENDOUJIの曲を聴いたのはこの日が初めてだった。TFCに憧れてバンドを始めたという彼らがこの日演奏した曲は、そのTFCの影響をひしひしと感じる正統派ギターポップ。ぼくの琴線に触れまくる曲ばかりで、なぜ彼らの曲をいままで聴いたことがなかったのか不思議なくらいだった。一瞬で彼らのファンになったよね。

 TENDOUJIの演奏が終わった後、ステージに出てきたTeenage Fanclubのメンバーは前回来日した時とは少し異なっていた。Gerardがいないのである。もちろん、そのことは知っていたが、いざ目の当たりにするとやはりショックだった。それまでGerardが立っていたポジションには、サポートメンバーとしてキーボードやギターを担当していたDaveがベースを持って立っていた。そして新たにキーボード担当として加入した元Gorky's Zygotic MynciのEurosが、Daveのいた位置に座っていた。演奏が始まるまではやはり、どこか不安に思う部分があったが1曲目の『It's All in My Mind』が始まるとそんなものはどこかに消えてしまった。つづく『The Gabbage』、『About You』を聴き、ぼくの見たかったTeenage Fanclubがたしかにそこにいると実感した。少しラインアップは変わったが、Teenage FanclubはずっとぼくらのTFCなんだという喜びすらあった。

 大名曲『Start Again』の後、数週間前にレコーディングしたばかりだという新曲をやり、まさにTeenage Fanclubの新たなスタートを感じさせるような曲順でにくかった。「Bandwagonesque」の中でも特に好きな『Alcoholiday』で一気にテンションが上がり、今ではおそらくレアであろう『Catholic Education』を歌い始めたときには思わず「おお!」と心の中で叫んでいた。ぼくがRaymondの曲で一番好きな曲であり、前回の来日公演でもやってくれた『Your Love is the Place Where I Come From』でしんみりした後、Normanはある種衝撃的な言葉を放ったのである。「次の曲は2ndシングルだよ」と。その瞬間、「まさか!まさか!まさか!」と、ぼくの興奮は爆発寸前になった。その後すぐにNormanが「God Knows It's True」と言い、あのイントロを引き始めた瞬間、ぼくのテンションはマックスになった。そう、名曲中の名曲『God Knows It's True』をやってくれたのである。30周年を記念するツアーだし、やってくれるかな~という淡い希望を持っていただけに、嬉しすぎて言葉も出なかった。後で確認したところ、東京と名古屋ではやっていなかったようで、まさに奇跡だったのである。この曲を生で聴けたという事実が、一生の思い出になったのは間違いない。

 その後「Songs From Northen Britain」からの名曲を中心に、現時点での最新シングルであり、最新アルバムから生まれた新たなアンセム『I'm in Love』を演奏。そして本編は今でもまったく色あせない彼らの1stシングル『Everything Flow』を最後に一旦幕を閉じる。

 アンコールで再登場後の1発目は「Shadows」からRaymondの『The Fall』。ライブで聴くと体のすみずみに染み渡る感覚がよりいっそう感じられる曲。そして次に演奏された曲はこれまた永遠に輝き続ける名曲『The Concept』。今回のクライマックスはこっちか!などと考えながら、いつまでも聴いていたくなるような感覚に陥っていた。The Conceptが終わってしまうのを残念に思いながら、今回のライブも最高だった、などと考えていたらメンバーはまだ退場していなかった。あれ?と思いながら見ていると、Normanがギターをエレアコに取替え、『Broken』を歌いだした。なんてセトリだよ・・・と思った。おそらく最後の1曲はGerardに捧げた歌なんだろうなとも思った。ライブ中にはGerardの名前を一度も言わなかった彼らが、最後の最後に歌で自分たちの気持ちをぼくら観客に伝えてくれたのだ、勝手に解釈した。

 Gerardの曲はひとつも演奏しなかったが、まったく不満のない素晴らしいライブだった。Daveはライブ中一言も発さず、演奏に徹している様がこれまでと何一つ変わっていなかった。個人的には、もうちょっと出しゃばってもいいんじゃない?なんて思ってしまったが。そしてキーボードによる貢献ももちろんだが、EurosのコーラスはGerardの不在を忘れさせるほど完璧で、Teenage Fanclubに馴染んでいた。TFCはなにも変わっていなかった、そのことがぼくにとって何よりも嬉しかった。ありがとうTeenage Fanclub、そしてどうか、これからもよろしく。


ひとつ心残りがあるとすれば、『Neil Jung』が聴けなかったことかな?