24年ベストアルバム+ベストアニソン

2024年にリリースされた私的ベストアルバムです。

例年通りめちゃめちゃ偏ってます。

番号振ってますが順位等はありません。順番はアルファベット順です
※批評ではなく、ベタ褒め記事です

※一部追記中

 

 

1. Beth Gibbons『Lives Outgrown』

アコギ、ストリングス、ブラスetc・・・ 生の音重視の、非常にアコースティックなサウンドで構築されています。楽曲そのものが持つ強度、アレンジの豊かさ、そして何よりもBethのボーカル。あらゆる要素がシナジーを生んで、Beth Gibbonsのアルバムとしてこれ以上ないくらいの内容になっています。
不穏な雰囲気に導かれる序盤、不穏さを纏ったまま突入し緊迫感に溢れた中盤から終盤、そして穏やかなエンディング。構成もド好みで完璧です。どの曲も聴きどころがあって素晴らしいんですが、やはり中でも目を見張るのは#6。彼女の歌声を最大限に活かす呪術的なボーカルとエスニックなストリングス、要所要所で入ってくるブラス、好きすぎます。前述したように、穏やかなフルートの音から始まるフォーキーな曲がクロージングトラックというも美しい。あと、全編でドラムの音がめちゃめちゃに良いのもポイント。
恥ずかしながら、Portisheadのボーカル、Beth Gibbonsのアルバムだから聴いたという面もあるんですが、そういった背景を抜きにしても最高のチェンバー・ポップ、フォークになっております

☆ #6. Reaching Out

 


 

2. Clairo 『Charm』

3年ぶりとなる3rd、美しいです。モロにベッドルーム・ポップな1st、より内省的なフォーク路線に進んだ2ndと来て、今作はジャズ、ソウル的な側面からのアプローチが目立つチェンバー・ポップになっていると感じます。ピアノ、オルガン、メロトロン、フルート、クラリネット等々、マイルドで暖かみのある楽器群と彼女のウィスパーボイスが合わさった、非常に柔らかく優しいサウンドを聴かせてくれます。さらにサイケな雰囲気もあって、とにかく心地良い
全体的にレトロな空気感を纏っているんですが、そのレトロなサウンドと軽やかなビートの絡みが絶妙で、ただのヴィンテージではない現代的なサウンドになっています。デビュー時はざらついたローファイな音を鳴らしていて、ある意味そういったサウンドとは縁があったと言えますが、それがこんな暖かみのあるヴィンテージサウンドを鳴らす方向に変化するとは・・・
ごちゃごちゃ書きましたが、優しく心地良い、聴いていて安らかな気持ちになれるアルバムです

☆ #8. Add Up My Love

 


 

3. The Cure『Songs of a Lost World』

前作『4:13 Dream』から16年ぶりのフルアルバムとなった本作、まさしく求めいていたThe Cureです。重厚で荘厳、それでいて美しさを兼ね備えたオープニングナンバー、もうこの時点で最高です。ギターとシンセの絡みが美しい非常に長いイントロ(もはやメイン)は、『Disintegration』のPlainsongを彷彿とさせますが、今のThe Cureサウンドというか、モードが出ています。美しき絶望の世界を、この1曲でもって示しています。続く#2は主役級のピアノの音によって、本作中最も美しい曲に仕上がっている印象。さらに#4や #5のような方向性のヘヴィネス、重さを持った曲は、これまであまりなかったように感じていて、このキャリアの長さでまだ進化し続けるのかという驚きもありました。そして#7は各楽器の絡み、メロディ、構成、歌、すべてが完璧で、「ダークなThe Cureのポップソング」の新たな地平を見たような気がします。収録曲のほとんどが長尺で、ポップソングらしい曲もありませんが、Robert Smithの紡ぐ音楽はこれなんだよ!The Cureはこうなんだよ!と言いたくなる、The Cureの新たな代表作といっても過言ではない内容の素晴らしいアルバムです。In Between DaysやJust Like Heaven、Friday I'm in Loveのような弾けるポップソングももちろん大好きですが、今作はそれがないからこそのアルバムなのかなと思います。しかしRobert Smithの衰えを知らない歌声よ・・・

☆ #7. All I Ever Am

 


 

4. Ducks Ltd.『Harm's Way』

カナダはトロントの2人組による2ndフル、もう最高のギター・ポップです。
疾走するメロディに軽やかで煌びやかなギター、良すぎる。というか、好きすぎます。アップテンポの曲にキラキラしたアルペジオとジャカジャカしたギターという組み合わせは無敵なんです。ひたすらに爽やかで、聴いているだけで晴れやかな気持ちにさせてくれます。そうやって突っ走って、最後はストリングスが映える非常にメロウで穏やな曲で締めているのもグッド。1発でエンディングと分かる分かりやすさ、安心感すらあります。そして今回も30分以内の収録時間・・・美しい・・・
やってる音楽そのものはデビューEPの頃からあまり変わっていませんが、テンポ速めの曲の割合が気持ち増えている印象。ジャングル・ポップなサウンドを突き詰めていっています。少し毛色は違いますがThe Umbrellasと並んで、現代のc86、ジャングル・ポップの体現者ですよ。この2組が英国ではなく、北米から出てきているのも面白いところです

☆ #2. Cathedral Cuty

 


 

5. Fontaines D.C.『Romance』

通算4作目となる本作、とんでもないモンスターアルバムです。これまでもアルバムをリリースするごとに確実に進化を続けて来たのは間違いないんですが、今回はちょっとレベルが違いました。
The Cureを感じさせる#1、ストリングスとピアノを取り入れ、スケール感を増しながらもダークなポストパンクである#2というオープニング。そこから本作でも特にアグレッシブな#3へ続く流れは圧巻。序盤だけですでに圧倒的名盤です。
中盤から終盤にかけてはメロディアスなナンバー連発で、これまた素晴らしい。静かに盛り上がっていく#5、ライブ映えするであろう#6、ストリングスとアコギがメインの#9と非常にバリエーション豊か。スローからミドルテンポの曲が多いんですが、全く中だるみすることなく駆け抜けていきます。文字通り捨て曲なしです。極め付けは極上のギター・ポップである#11。これがクロージングトラックになっているのがたまりませんね。あと外せないのは、ボーカルGrian Chattenの表現力の進化。楽曲の幅が広がるのに合わせてこちらも成長してきたように思いますが、完全にボーカリストとして次のステージに上がった感があります。ここからどんな方向に進んで行くのか、全くわからなくて本当に楽しみなバンドです

☆ #11. Favourite

 


 

6. Friko『Where we've been, Where we go from here』

リリース直後、一時的にとはいえAOTYでトップになり、日本のXにおけるインディー好きたちの間でも異様とも言える盛り上がりを見せた本作、本当にすごい内容です。
USインディー的轟音と、UKインディーのような叙情的メロディを兼ね備えたインディ・ロックオタクな内容・・・近年でいえばBig Thiefのようなインディー・フォークサウンドあり、鍵盤やストリングス主体のチェンバー・ポップもありと、インディー好きにとってはたまらない音を全編で鳴らしています。何かのインタビューで本人たちも言っていましたが、#1がまさにこのアルバムを象徴する曲で、前半のフォーキーなサウンドから後半の轟音への移行が美しい。震えるように搾り出すボーカルと重なるコーラス、轟音、完璧すぎます。
多くの曲のサビや#8で聴かせてくれる前述のサウンドの圧倒的祝祭感は、聴いていて本当に多幸感が溢れてくるように感じます。US/UK両インディー・ロックの遺伝子を受け継ついだ20代の若者がそれを凝縮し、現代でも通用するサウンドに昇華したある意味異常な、恐るべきアルバムです

☆ #8. Get Numb To It!

 


 

7. Galileo Galilei『Mantral』

2枚同時リリースの2枚目。MANSTERが再結成後の発展系なら、こちらは再結成前のGGの発展系といった印象です。瑞々しい音の爽やかなアルペジオに優しいメロディ、そこに加わる尾崎雄貴の声、最高に心地良いです。サウンドの気持ち良さはもちろんですが、シームレスな#5 → #6の繋がりも気持ち良い。シューゲイズ的轟音のアプローチが見られる#9、やシンセ・ポップ、インディ・ポップな#10、フォーキーな#5もあったりと、1本調子ではいかないのもさすが。
MANSTERに比べて生楽器の割合が多い印象で、それもアルバム全体の柔らかい雰囲気に繋がっているのかなと思ったり。ギター・ポップ、インディー・ポップ好きの方には是非聴いて欲しい作品です。MANSTERとMANTRALという二面性のあるアルバムを同時にリリースできる今のGalileo Galilei、ノリに乗ってます

☆ #3. 季節の魔物

 


 

8. Gruff Rhys『Sadness Set Me Free』

このおじさん、SFA時代から他のプロジェクトを含め、途切れることなくコンスタントに作品をリリースし続けていますが、全く衰えることを知りません。
流石のソングライティンで今作は特に各楽曲のメロディが素晴らしいように感じます。前作はSFAとしてリリースされてもおかしくないようなサイケロックでしたが、今作はシンプルなバンドサウンドに加えて、ストリングスをメインで使っているのでチェンバー・ポップのような趣があります。Gruffの優しい歌声と流麗なストリングスが合わさったらもう無敵ですわ。アルバム全体として柔らかい雰囲気で、聴いていてとても心地良い。これでソロ作品8枚目のフルアルバムというのも驚きです。あと1枚でSFAのリリース数に追いつきますよ。
ウェールズのポップマエストロぶりをこれでもかと見せつけてくれる本作、是非

☆ #2. Bad Friend

 


 

9. Homecomings『see you, frail angel. sea adore you.』

最高のギターアルバムだった前作から1年半で届けられた6th、これまでで最も重厚でシューゲイズ的轟音を駆使したサウンドでありながら、優しさに溢れたアルバムです。#1~#3で存分に聴かせてくれる煌めくアルペジオは彼らの代名詞ですが、より深く空間系のエフェクター、リバーブがかかっているように聴こえて非常に心地良く美しい。続く#4では、浮遊感のあったそれまでの音像から、明らかに変化した力強いビートと激しいギタープレイで、このアルバムの第一の転換点になっていると思います。そこからの#5と #6では美しいまさしくシューゲイズなサウンドを聴かせてくれて、このバンドにこれをやられたらもうたまりません。そしてエレクトロニカ的インストの#8が第二の転換点になっていて、ここからエンディングに向かっていくわけですが、#9がもう素晴らしすぎます。ソフト・ロック的アプローチに爽やかなアルペジオ、そして轟音と、このアルバムどころかキャリア全体のハイライトにすらなり得る楽曲になっていると思います。テレビアニメ「響け!ユーフォニアム3」のキャラクターである、鎧塚みぞれと傘木希美のキャラクターソングとして提供した曲のセルフカバーである#10、これもまたとんでもない曲だと思います。前述の2人が主役を張り、Homecomingsが主題歌を担当した映画「リズと青い鳥」。その劇伴を担当した牛尾憲輔へのリスペクトが存分に感じられるイントロから、今のモードのHomecomingsサウンドから紡がれる歌。ちょっと素晴らしすぎます。そこからシームレスに繋がるエレクトロニックな#11に、ピアノとグリッチノイズが印象的なエンディングの#12と、アルバムの構成も完璧です。前作で日本のギター・ポップの最前線にいると書きましたが、今の彼らは間違いなくインディー・ロック全体の最前線にいます

☆ #6. ghostpia

 


 

10. Kindsight『No Shame No Fame』

デンマークのギタポバンドによる2年ぶりとなる2ndフル。いやあ今回も最高です。甘いメロディにノイジーなギター、そこに乗っかるキュートなボーカルと、好きな人にはたまらない内容です。
特に#1と #2で感じますが、前作に比べ、ギターによる轟音が増えシューゲイズ的一面も見せてくれて嬉しい。シューゲ的ギタポって最高なんです。メランリックで美メロの#4、穏やかで哀愁のある#5、爽やかに疾走するド直球ギタポの#6と、前作の音楽性を更に推し進めた曲ももちろんあります。そして9分30秒ほどあるクロージングトラックでは、前半の2分で歌を終わらせて、残りの7分はノイズを混ぜつつひたすらに同じリズムパターンでのバンドアンサンブルが続くという最高のアウトロになっています。こういうノイジーで長いアウトロは初期のTFCを感じさせて、そういう意味でも嬉しい

☆ #4. Tommorow

 


 

11. Kula Shaker『Natural Magick』

キーボードのJay Darlingtonが復帰して、25年(!)ぶりにオリジナルラインアップでの制作となったという本作、オープニングから全開です。歯切れの良いカッティング、ワウワウしたギター、クリスピアンの流れるように呟くボーカル、完璧でしょ。前作は20曲入りの非常にコンセプチュアルでちょっと大仰なアルバムでしたが、今作は躍動感とライブ感に溢れる内容になっています。特に冒頭3曲の流れはこれぞKula Shakerというグルーヴとサイケ感マシマシの曲で、往年のファン感涙の出来です。先入観のようなものもあると思いますが、やはりキーボード(オルガン)の音が最高に良いアクセントになっていて、サイケ且つポップなKula Shakerサウンドの構築に一役買っています。
黄金配合のクーラ流ラーガ・ロックあり、#5(たしか何かのカバー)や#8のようなインド色爆発の曲ありと、文字通り名詞代わりになるレコードだと思います。原点回帰に留まらず、自分たちの強みをより一層パワーアップさせた本作、脱帽です。
「税金なんて払いたくない」という最高なタイトルの曲(これもめちゃくちゃグルーヴィーでイカす曲)もあり、そういうところも好きなポイント。踊れるサイケデリック・ラーガ・ロック、唯一無二ですよ、やっぱり。月並みですけど、バンドマジックって本当にあるんだなっていうことを再認識することできるアルバムでもありました。あと、やはりGrateful Deadの影響というか、成分を今の彼らが形にしてくれてることも嬉しいところです

☆ #3. Natural Magick

 


 

12. The Lemon Twigs『A Dream is All We Know』

前作からちょうど1年ぶりとなった本作、完全に魔法が掛かってます。爽やかな12弦の音とハーモニーの美しさが抜群の#1Golden Years。もうこの1曲目でノックアウトです。ギター・ポップ、パワー・ポップ好きは、この曲だけで本作が名盤であると確信するでしょう。それほどまでに完璧なポップソングですよこれは。
前作も抜群に良くて年間ベストに選出しましたが、どこかフォーキーな作りになっていました。対して本作は原点回帰と言っていい内容で、どこまでも晴れやかなサンシャイン・ポップを聴かせてくれます。60's、70'sサウンドの現代のクラシックロックアルバムという感想は前作の時にも書きましたが、それにさらに磨きをかけていてもう無敵です。個人的には#6や#9に特にBeach Boysを感じてたまりません。しかもSunflowerの頃のBeach Boys感があって最高です。今の彼らは完全に敵なしなモードに入っていると思うぐらい、素晴らしい内容です。
あまりにも美しく心地良いポップソングレコード、やっぱこれですよ

☆ #1. My Golden Years

 


 

13. Liam Gallagher & John Squire『Liam Gallagher & John Squire

80's & 90's UKロックのレジェンド2人によるコラボアルバム、ついに出ました。
ときにサイケに、ときにブルージーに、ときにメロディアスに。唸りまくるJohnのギターとLiamの突き抜けるボーカルをたっぷり堪能できます。基本的には前述の通りLiamの声とJohnのギタープレイを楽しむアルバムだと思いますが、楽曲の完成度もかなりのモノです。全曲Johnが書いていますが、しばらくシーンを離れていたとは思えないほど完成度が高いです。
というか、LiamのボーカルとJohnのギターの相性が想像以上に良い。OasisやLiamソロのKnebworth公演でJohnがChampagne Supernovaを弾いているというのは、ファンならよく知る事実ですが、あれはあくまでOasisの楽曲でした。今回は完全にこの2人によって作られた2人のアルバムですから、この親和性とクオリティの高さはより深い意味を持ちますよ。JohnとLiam、2人とも自分にとって永遠のヒーローですし、特にJohnが「曲を書く/音源をリリースする」という形で表舞台に戻ってきたことが本当に嬉しい。
The Stone RosesOasis、2つの伝説の続きがこういう形で重なるのは、ファンとしては嬉しい限りです。 LiamのボーカルとJohnのギター、両方とも大好きな自分にとってはまさにご褒美のようなアルバムです

☆ #2. Mars To Liverool

 


 

14. MyGo!!!!!『 跡暖空』

BanG Dream発の5人組による2ndフル、メロコア系のエモーショナルなギターロックというのは変わりありませんが、幅が広がったように感じます。まず劇場版後編のEDテーマになっている#1ですが、比較的ミドルテンポでストリングスを取り入れた楽曲になっており、さらに歌声が柔らかく優しい表現に満ちています。この時点で1stとは違うぞと。また前作でも片鱗は見せていましたが、ハード・ロック的なギター・プレイとハイトーンボーカルを見せつけてくる#4などもあり、ギターアルバムとしてもパワーアップしています。ポエトリーリーディングも健在(#9、#10、#12)ですが、前作にあったような陰鬱な要素は少なく、より感情を表に出したハードなテイストになっていると感じました。そういう意味では、#8は イントロの泣きのギターが抜群の叙情的オルタナティブ・ロックで、こういうところに泣きの要素が移っていると言えるのかもしれません。クロージングトラックの#12はポエトリーリーディング主体のナンバーですが、前述したように暗い要素はなく希望に満ちた内容になっています。本作で最もエモーショナルなギタープレイを聴けるのはこの曲だと思っていて、前作でもそうでしたが、ポエトリーリーディングの曲にそういったギターを入れて勝負できるのがこのバンドの特徴であるように思います。ギター・ロックとしても間違いなく進化している本作、ギター好きの方には是非聴いていただきたい傑作です

☆ #1. 歩拾道

 


 

15. NewDad『MADRA』

アイルランド・ゴールウェイの4人組によるデビューAL、耽美でゴシックなドリーム・ポップで最高です。憂いを帯びたメロディに浮遊感のあるアルペジオが絡む音像、パーフェクトでしょう。
The CureCocteau TwinsSlowdiveといったバンドの系譜にあたる音楽性ですが、どちらかというとUS オルタナグランジ寄りの轟音の使い方で、今この時代だからこそのハイブリッドな音だと思います。80'sを参照した90'sを参照したドリーム・ポップというような側面もあり非常に面白い。これまでリリースされたEPに比べよりダークな雰囲気なアルバムになっていますが、それはつまり耽美さに磨きがかけられているということでもあり、とにかく美しいアルバムです。とはいえ明るくポップな#5や#8、メロウでドリーミーな音像が際立つ#6など、ただただ暗い内容ではないのもグッド。
NewDadよりノイズやシューゲイズの要素が強く少し毛色が違いますが、同じくアイルランド出身のJust MustardやスウェーデンのAgent blåといったバンドとも共振する、美しいドリーム・ポップです

☆ #9. Nightmares

 


 

16. Primal Scream『Come Ahead』

フルアルバムとしては前作から8年ぶりとなった本作、プライマルらしいごった煮のなんでもありな内容で最高です。
3rdのCome Togetherを彷彿とさせるゴスペル調のコーラスで多幸感を漂わせるオープニング。と思いきや、すぐに不穏なシンセとベースが入ってきて、ボビー印のドロドロしたサウンドを聴かせてくれます。続く#2は、これまたらしいリフレインにファンキーなギターとベースラインが最高に心地良い。バラード調の#3や#8 、ダンサブルな#4に#7、ガレージにサイケ等々・・・様々な音楽を取り込んできたプライマルらしい、グチャグチャドロドロしつつも破綻することのない最高の曲たちが並んでいます。アルバム全編を通して存在感を発揮する豪華なストリングスとコーラス隊も、今作のサウンドを特徴付ける要素になっていると思います。
そして間違いなく、これまでのどのアルバムよりも踊れるアルバムです。前作から随分待たされた気がしますが、ここにきてキャリアを更新するレベルの作品をリリースするんですから、脱帽です

☆ #2. Love Insurrection

 


 

17. Real Estate『Daniel』

自然体且つ非常に丁寧に作られた貫禄のギター・ポップ、最高です。心地良いアコギのバッキングと、クリーントーンで奏でられるエレキの流麗なアルペジオは、なんというかやっぱり体に馴染みます。
前作は良い意味でReal Estateらしくないというか、バンドとしてできることを詰め込んだような印象のあるアルバムでした。対して今作は、肩の力が良い具合に抜けたサウンドでありながら、どの曲もポップソングとして非常に高い強度を持った、文字通りポップソング集になっています。もともとポップな曲を書く人たちですが、そんな彼らが意識してポップソングを作ったらそれはもう言う事無しな訳ですよ。恒例のインスト曲やジャムっぽい展開を廃したことも、ポップな作風に大きく貢献しています。<br/R.E.M.のAutomatic for the Peopleを意識して制作されたということで、フォーキーなサウンドも目立ちます。優しいメロディとシンプルなバンドサウンドで奏でられた、ただただ良い曲が並んだ極上のアルバムです>

☆ #3. Water Underground

 


 

18. Superyou『TODAY』

インディー・ポップ、ギター・ポップ、シューゲイズetc・・・ 90s感溢れるサウンドに甘いメロディ、そこに乗っかる線の細いボーカル、う〜ん最高のインディー・ロック。全体的にコーラスをかけたギターの音が目立ちますが、バチバチに歪ませたサウンドの音作りもグッド。アルペジオも特徴的で、いわゆるネオアコの要素も感じさせます。ROSE RECORDSから出ていることもあり、サニーデイっぽいどこか雰囲気も。爽やかさと湿っぽさを兼ね備えたサウンドは本当に心地良い。某ジーザスのあの曲っぽいイントロのドラムや、某パンプキンズのあの曲っぽいリフがあったり、はたまたGreen Mindという直球のタイトルの曲があったりと、何というかたまりませんよね。 エバーグリーンなサウンドを聴かせてくれるギター・ポップの名盤ですよ、これは

☆ #3. サマーバケーション

 


 

19. トゲナシトゲアリ『棘アリ』

アニメ「ガールズバンドクライ」の劇中バンドによる1stフル。恥ずかしながら4月から始まったアニメでこのバンドの存在を知ったんですが、楽曲のリリース自体は2023年から始まっています。
アルバムの内容は、2024年の2月までにリリースされたシングルとそのB面で構成されており、非常にキャッチーです。そしてほとんどの曲が、ヴァース→コーラス→ヴァース→ソロ→コーラスという構成で、3分前後という潔さ。全10曲31分で、最初から最後までノンストップで駆け抜けます。
ボーカルの言葉数の多さ、ギターとキーボードのサウンドから、おそらくボカロの文脈で語られるJロックだと思うんですが、自分はボカロを通っていないので、そういった方面からはコメントできず・・・マシンガンのように矢継ぎ早に繰り出されるボーカル、性急なビートと、個人的には初期のArctic Monkeysを彷彿とさせる要素が多く見られると感じました。とはいえ、洗練されたサウンドプロダクションに加え、キーボードの音色が音に彩りをもたらしているので無骨なガレージロックではないです。
チャキチャキした音、ヘヴィなリフ、ピロピロしたリフ、小気味良いカッティングなど、ギターサウンドも多彩でめちゃめちゃ楽しいです。#4ではジャジーなピアノソロもあったりと、一本調子のように見えてかなり広がりがある印象です。しかしこのアルバムは間違いなくパンクです。最高のパンクですよ

☆ #2. 偽りの理

 


 

20. Vampire Weekend『Only God Was Above Us』

ギター好きとしてはめちゃめちゃギターアルバムだった前作が大好きで最高傑作だと思っていましたが、やはり常に期待以上のものを出してくれるバンドです。最高のニューアルバムです。
軽やかなギターリフ、流麗なストリングス、ザラついたシンセとピアノ。まさにこれまでのVWの総決算のような内容になっていて、非の打ち所がありません。ドラムやシンセ、ピアノの音が特にわかりやすい気がしますが、全体的にザラついた感じのサウンドプロダクションになっていて非常に心地良い。
一見1st~3rdまでの音楽をさらに昇華させたような内容で、前作4thからの流れはそこまで無いのではと感じましたが、全然あります。特に#9のイントロのギターリフや#10の展開にそれを感じて嬉しくなりました。#9のリフはこのアルバムで1番美しいギターリフだと思ってます。
コーチェラのラストのジャムり倒したパフォーマンスを見て、4thの期間はこのバンドにとって間違いなく必要なものだったんだなと再認識できました。
インディー・ロック、インディー・ポップ、ギター・ポップ、チェンバー・ポップ、ジャム・・・ あらゆるサウンド、手法を自分たちのやり方に落とし込んで、もう「Vampire Weekendというジャンル」と言ってもいいサウンドを確立してます。Vampire Weekendの新たな地平を見せてくれた最高のアルバムです

☆ #9. Pravda

 


 

 


ここからアニソン20選

こちらは一言だけになります。順番はアニメのタイトルの五十音順です

 

 

1. ATRI -My Dear Moments-

OP「あの光」乃木坂46

OP映像のアトリちゃんのダンスが印象的ですが、単純に曲が良すぎます。夏と海をテーマにした本編に、これ以上ないくらいマッチしていると思います

 


 

2. ガールズバンドクライ

挿入歌「視界の隅 朽ちる音」新川崎(仮)

シンプルで激しいギター・ロック、これでいいんです

 


 

3. コードギアス 奪還のロゼ

ED「ロゼ (Prod.TeddyLoid)」満島ひかり

切なく荘厳で美しい、本編にシンクロする歌。劇場の音響で聴いたときは素晴らしすぎて鳥肌モノでした

 


 

4. しかのこのこのここしたんたん

OP「シカ色デイズ」シカ部

アニソンです。間違いなく2024年アニソンのアンセムです

 


 

 

5. 葬送のフリーレン 第2クール

OP「晴る」ヨルシカ

 約束されたクオリティをさらに高め、好きにさせてくれました。ありがとう

 


 

6. ダンジョン飯 第2クール

ED「キラキラの灰」リーガルリリ

印象的なイントロと、Snail Mailのようなシンプルなリフ。ドンピシャです

 


 

7. 嘆きの亡霊は引退したい

ED「すくりぃむ!」P丸様。

中毒性のあるメロディと声にいい意味で変な詞、これですよ。これがいいんです

 


 

8. なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?

ED「途切れないで」好芻

オルタナ的ギターにキラキラしたシンセ、儚い歌声。完璧です

 


 

9. 菜なれ花なれ

OP「Cheer for you!」PomPomS

北川悠仁作の約束されたポップソング。カワイイOP映像も相まって元気が出ます

 


 

10. ばいばい、アース

OP「FACELESS」ASCA

難解な本編を補完してくれるようなマッチ具合。激しくも切ない内容で最高です

 


 

11. BanG Dream! It's MyGO!!!!! 後編 うたう、僕らになれるうた&FILM LIVE

ED「歩拾道」MyGO!!!!!

穏やかながらも力強い曲。エンディングでもありオープニングでもあるという特異なポジションですが、全く違和感ありません

 


 

12. Bloody Escape -地獄の逃走劇-

主題歌「匿名奇謀」アツキタケトモ

あの逃走劇の果てのエンディングとして、この疾走感のある曲。気持ち良すぎます

 


 

13. ブルーアーカイブ The Animation

ED「真昼の空の月」アビドス廃校対策委員会

80's ニュー・ウェイヴ的シンセにキラキラしたアルペジオ。懐かしさを感じる歌メロも相まって最高です

 


 

14. 変人のサラダボウル

ED「今晩の喧嘩」名誉伝説

ドタバタ日常コメディである本編に、これ以上ないくらいマッチした曲。ED映像と合わせて大変心地いいゆるさです

 


 

15. 魔王軍最強の魔術師は人間だった

OP「Ctrl C」KOHTA YAMAMOTO feat. Shun Ikegai

シンプルにカッコイイ曲。一聴した時点でベスト入り確定でした

 


 

16. 魔法少女に憧れて

ED「とげとげサディスティック」エノルミータ

狂った本編に対して、このキレイで切ない曲。反則です(詞も大概ですが)

 


 

17. 真夜中ぱんチ

ED「編集点」真咲 (CV.長谷川育美)

口ロロのあの曲とかあの曲を彷彿とさせる語りで始まり、サビで一気に解放する気持ちよさ。気だるげな声と歌声の対比も美しいです

 


 

18. メタリックルージュ

OP「Rouge」由薫

あの頃を感じるイントロからオシャレなAメロ、流れるようなサビと隙がない。スタイリッシュなOP映像も素晴らしいです

 


 

19. ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章

 

虹ヶ咲のEDはどれも特大アンセムですが、これも例に漏れず。暖かさと希望を感じさせる美しい曲です

 


 

20. 歴史に残る悪女になるぞ

ED「わっちゅあね?」来栖りん

ED映像もメロディも詞も、すべてカワイイ。無敵です

 


 

 

以上!